営業活動を行う上で、商談は大きなビジネスチャンスです。自社製品の売上が向上するかどうかは、商談のまとまり具合にかかっています。また、大型案件の商談は企業の命運を左右するイベントです。そのような重要な商談では、営業担当者のプレッシャーは相当なものでしょう。積極性は重要ですが、売りたい気持ちが強すぎると、期待した結果が得られないかもしれません。ここでは、商談への持ち込み方や商談をまとめるときのポイントについて解説します。

商談とはどの段階のこと?

商品を販売する業態では、クライアントが商品に興味を持ち、納得して購入し、料金を支払うまでに、さまざまな段階の積み上げが必要です。一般的に「商談」といわれるものは、上記の営業活動上のすべてのやり取りを指しているのではありません。営業活動の初期には「潜在見込み客」であった存在が、実際の「交渉相手」となった段階で行われる話し合いを「商談」といいます。商談へ持ち込むためには、主に3つの営業形態があります。「新規開拓営業型」や「飛び込み営業型」、さらに「来店誘引営業型」があります。それぞれの営業形態で「潜在見込み客」を商談に持ち込むアプローチは異なります。いずれにせよ、まずは交渉のテーブルに乗ってもらえることが、商談のスタートラインなのです。

良い感触が商談成立に至らない理由

商談中に「良い感触」を得るときがあります。営業担当者が商談中にすすめた商品やサービスに対して、顧客が興味のありそうな積極的な態度を見せた場合などに感じられます。たとえば、詳しく質問してきたり、「これ、いいね」という言葉になったりしたときなどです。しかし、このようなポジティブな感触があったからといって、そのまま発注に繋がるケースはあまり多くはありません。商品やサービスに対して興味を持つことと、発注を決断するまでの間には、他の商品やサービスと比較検討する段階があります。興味深く、高評価の商品であっても、他の同等品や諸条件を勘案した上で、最終的な発注の意思決定がなされます。つまり、商談中の「良い感触」の次に、もうワンステップ乗り越えるべき壁があるのです。具体的には、その「良い感触」の理由を分析して、比較検討の段階で有利になるような情報を商談中に顧客側に提供しておく必要があります。

商談を発注に繋げるためにすべきこと

一般的な商談では、営業担当者と購買担当者同士の話し合いになります。法人などの組織では、購買担当者に決裁権はなく、上席の管理者など社内稟議を計ってから意思決定されるのが一般的です。その意思決定に関わるキーマンや、選定のチェックポイントなどは、商談相手から情報を引き出しておくようにします。日常的な営業活動で人脈を培っておくとこの種の情報の入手も容易になり、商談のタイミングで他社の一歩先を行くことも可能になるでしょう。商談の成功は商品のクオリティもさることながら、「人脈」と「情報」に大きく左右されます。特に大型案件などでは、社をあげて事前に情報収集するネットワークを作っておくことも効果的です。

質問を中心に商談を進めるのがベスト

うまくいく商談のポイントは、相手の立場で物事を考えられるかという点にあります。商談相手の反応を見ながら、何に疑問や不安を感じているのか、どんなニーズがあるのかを十分に聞き出します。その後、自社の商品やサービスをどのように売り込めば、商談相手の疑問や不安を解決することができるのか明確に示してクロージングをかけます。まず、商談相手と同じ目線になれなければ、説得力のある商談は難しいでしょう。自分本位に売り込みたい内容だけを伝える商談で顧客が納得する可能性は限りなく低いのです。商談を進めるための有効なテクニックのひとつに、質問中心に会話を組み立てていく方法があります。質問のやり取りによって、十分に顧客が理解できているかどうかも明確になり、購買意欲を強く持ったタイミングがわかりやすくなります。そのタイミングこそ、クロージングをかけるベストな瞬間なのです。