ほとんどの会社がやらなければならない業務として営業が挙げられます。新卒で入社し、最初から営業部に所属している人も珍しくありません。しかし、飛び込み営業やノルマの厳しさなどから辛い仕事と言われることが多いことも事実です。そんな中で注目を集めているのがルート営業と呼ばれているものです。一般的に、新規開拓営業よりも楽だと言われており、どうせ営業をするならルート営業をしたいと考える人も珍しくありません。この記事では、そんなルート営業の仕事内容と現実について紹介します。

ルート営業は楽って本当?

一般的に、ルート営業は新規開拓のような普通の営業と比較すると楽であると言われています。その理由の、特に大きなものとして3つ挙げることができます。1つ目は、精神的に安定できることです。基本的にルート営業のノルマはそれほど高くは設定されません。なぜなら、顧客が決まっているため得られる利益にも限界があるからです。さらにその一方で、新規開拓よりも稼ぎやすい側面があります。ルート営業の顧客が購入してくれるものは、たいてい決まりきっています。そのため、こちらから営業をかけなくても顧客から定期的に注文が入るのです。何もしなくても勝手に利益が生まれることは決して珍しいことではありません。これらのことから、ノルマによるプレッシャーが少なく、精神的には楽になります。2つ目は、顧客との信頼関係を築きやすいことです。営業において顧客との信頼関係を築くのは大切です。なぜなら、自社を信用してもらわなければ自社商品を購入してもらうことはできないからです。しかし、ルート営業においては、たとえ自分の担当が変わったとしても顧客はすでに自社のことを知っています。そのため、信頼関係が築きやすく、営業が展開しやすいのです。3つ目は、残業が少ないことです。ルート営業では顧客に合わせるため、顧客の業務時間が過ぎれば自社の仕事も終わります。多くの場合、顧客は業務時間を過ぎても残業していますが、一般的に業務時間外に営業をかけるのは非常識です。そのため、自社でできることが少なく、結果的に残業時間もあまりありません。

厳しい面はあるのか

ルート営業に楽と言われる要素があるのは事実です。しかし、もちろん厳しい面もあります。まずは、合わない顧客とも付き合う必要があることです。新規開拓営業の場合は、ある程度は営業マンの裁量で顧客を選ぶことができますが、ルート営業では自社と顧客の関係性が強いため、合わないと感じる顧客相手でも誠実な対応が求められます。また、関係性が強いために、顧客の雑務に付き合わされることが多いです。例えば、顧客が催事を行う際には、自社の利益に関係なく催事の会場設営を手伝わなければならないことがあります。そして、飛び込み営業よりも給与が低いことが多いです。ルート営業では顧客が決まっているため、売上を作ろうにも限界があります。飛び込み営業では頑張り次第で売上が発生するため、成果が給与に反映されやすいのに対し、ルート営業の場合には給与が固定になっていることも多いです。また、残業が少ないこともあり、残業手当もあまりありません。

ルート営業の仕事内容って?

ルート営業の楽な部分ばかりが注目されますが、肝心な仕事内容はあまり知られていません。基本的には既存顧客を回るのが仕事内容です。しかし、単に回るだけでなく、顧客がどのような事業を展開し、その上でどのような問題を抱えているのか、といったことを細かく把握しておかなければなりません。そして、顧客の課題に適した形で自社商品を提供していきます。また、新商品やサービスができた際にも、単に新しいものができたと宣伝するのではなく、顧客に対してどのようなメリットが得られるのかをしっかりと説明して売り込むことが大切です。

飛び込みよりもやりやすいのは確か

既存顧客がいるため、新規開拓の営業よりも敷居が低いのは確かです。顧客とじっくり向き合いたい人や、給与は少なくてもいいからストレスの少ない仕事をしたいという人にはルート営業は適しているでしょう。しかし、ルート営業にはルート営業の苦労があることを忘れてはなりません。単に「楽だから」という理由でルート営業を考えるのではなく、ルート営業という働き方が自分に合っているかどうかで判断することが大切です。