ビジネスパーソンにとって、営業力というのは必須の能力といっても過言ではないでしょう。営業力とは売り込む力とも解釈でき、それにはコミュニケーション力を始めとしたさまざまなスキルが要求されます。そのため何をもって営業力とするかはわかりにくい部分もあるかもしれません。線引きがあいまいなため、自分では何からアプローチしていけばいいかわからないという状態では、なかなか前に進めません。そこで活用したいのが、社外研修です。そこで、社外研修とは何か、その意義やメリット、注意点などを社内研修と比較しながら紹介します。

何で社外研修なの?

仕事のできるビジネスパーソンになるためには社外研修がいいといわれますが、そもそも社外研修とはどのようなものでしょうか。社外研修は、外部との関わりの中で仕事のスキルについて研鑽していく取り組みです。文字通り、会社の外で行う研修です。ただし、会社の外で研修するからといって、自社だけの環境で行う研修は社外研修ではなく、社内研修になります。例えば、「○○のプロが教えるビジネスマナー」といったテーマで、外部の人間が会社にきて行う研修は、社外研修になります。
なぜ社外研修がビジネススキル向上に役立つのでしょうか。その理由は、情報の新規性や環境の変化にあります。第三者が介入する研修では、普段の業務とは違った知識や考え方に触れる機会になるので刺激が得られやすいのです。また、社員にとっては新しいコトなどにチャレンジするきっかけづくりにもなります。いつもの慣れた環境ではなく、違った環境にいることも、研修に緊張感をもって取り組むうえで有効に働きます。

例え話で徹底比較!社外研修VS社内研修

まず、同じ職種で社外研修と社内研修の違いをみてみましょう。例えば銀行員のケース。銀行員の業務において、集金ノルマの達成率を上げたいという課題があったとしましょう。それに対して支店長が、「業務後にスタッフで集まって営業の勉強会をしよう」と提案しました。そして業務後、支店長を中心に営業についての勉強会が開かれました。そのときの講師は、支店長自らが行っています。支店長は、普段の業務から各スタッフの課題を取り上げ、それらをテーマにしてノウハウをレクチャーしました。それからすぐにスタッフの仕事ぶりに変化がみられました。指摘された業務が改善し、雰囲気も変わったように見えます。しかし、それ以降も全体としての営業成績はなかなか伸びません。そんなおり、顧客から「接客がいまいちよくない」との指摘をあるスタッフが受けました。そこで、接客について外部の講師に学ぶため、スタッフ一同でホテルマナーの研修会に参加しました。それからというもの、営業成績は右肩上がり。顧客の受けもよくなりました。
どうでしょうか。銀行員のイメージで例え話をしましたが、社内研修では自社内で把握できる問題点については素早く解決できます。しかし、社内で気づけない問題点について客観的に修正をかけていくためには、外部の力を借りたほうがいい場面もあるのです。

なんでこんな研修会選んだの!?社外研修でありがちなミスとは

いつもの業務に新しい風を吹き込んでくれる社外研修ですが、いくつか注意すべきことがあります。まず、社外研修の特徴として、体形的であるという点です。例えば、ビジネススキル向上がテーマの研修であれば、ビジネスのキホンから営業における応用的な知識やアイデアを知ることができるでしょう。しかし、それが効率的かというとそうでもないのです。ある分野における概論から説明され、基本的な要項を説明されたあとにやっと実践という流れの講習会はよくみられます。社会人になりたてで右も左もわからないという層に向けてであればそれでもかまいませんが、ある程度の経験年数を重ねると既に身に付けている部分も多いでしょう。そのような場合にも、外部研修は一定のカリキュラムに沿って取り仕切られるパターンがほとんどであり、苦手分野や興味のある分野をポイントごとに切り取って効率よく学ぶというカタチがとりにくいのです。
もう一つ、社外研修では外部主導でテーマや進行、手法などが決められているので、参加してみないと研修が役に立つものかどうか判断が難しいという点もあります。実際に参加して、「なんでこんな研修会に参加したんだろう」となっても参加費用を出してしまったので後の祭り…。このような悲惨な事態になることもあるので、特に研修会選びは注意したいところですね。

まずは目標設定!失敗しない社外研修選びのポイント

適切でない社外研修を選んでしまうのは、時間のロスだけではなく、参加費用、交通費なども無駄になってしまいかねません。仮に一人あたりの参加費用1万円の研修会に、会社から20万円を出して20人研修に行ったとしましょう。一日かかる研修会であれば、交通費の他に弁当などの食費もかかります。その費用が全て無駄になるというのは会社からみても喜ばしい状況とはいえません。
自分の会社、社員に適した社外研修選びは、研修の導入において最初の関門であり最も重要なポイントといえます。そこで間違いのない選択をするためには何が必要なのでしょうか。それは、目標設定です。あらかじめ、研修会に申し込む前に自社または社員の抱える問題を把握しておきます。それに対してどのように対応するか、具体的な目標設定をしておきます。例えば、営業で接客力の低下が問題視された場合、その対応として、クライアントとのやりとりを想定したロールプレイング研修が必要であり、その研修を通してシミュレーション力、対人コミュニケーション力の向上を目標に設定しておくのです。目標も、できれば具体的な数字や目に見えるものを設定できれば、より研修が選びやすくなるでしょう。選ぶための軸をしっかりつくるために、会社や社員の課題を常に把握しておくように心がけることが大切です。

社外研修でビジネスの幅を広げよう!

日々目の前の仕事を、責任をもってやり遂げることは当然のことであり、また尊い行いです。社員一人一人の仕事が会社を支え、まわりまわって社会の足腰になって誰かの役に立っています。それだけでも十分素晴らしいことですが、やはり同じ働くのであれば、自分がどこまでできるのか、ビジネスパーソンとしての幅を広げていきたいものですね。社外研修は、そのような前向きな労働意識をより高めるきっかけになります。積極的に利用して、質の高い仕事ができる仕事人になりましょう。