経営が上手くいかない原因はそれぞれの事業者によって異なりますが、どの業種においても共通しているのは、費用対効果が悪化しているということです。会社の利益は、基本的に売上金額から仕入れや開発にかかった費用を引いた残りで計算されます。つまり、会社の経営が傾いているということは、仕入れや開発にかかった費用ほどの利益を得られていないからです。そこで、この記事では費用対効果が低くなっている原因と、その改善方法について紹介します。

そもそも費用対効果はなぜ重要なの?

費用対効果とは、商品の販売やサービスの提供にあたって必要となる投資金額に対して、どの程度利益を得られたのかを表す指標です。たとえば、ある店舗の開業にあたって1000万円の投資をした結果、毎年3000万円の利益を生んだ場合と、同じ1000万円の投資をしたのに年間で1500万円しか利益がでなかった場合では、前者のほうが費用対効果は高いと判断できます。つまり、経営者は会社全体の費用対効果を把握しておくことで、経営が順調に推移しているかどうかを判断できるのです。
また、会社が利益をあげるためには消費者に自社の商品やサービスを利用してもらう必要があります。商品を作ったりサービスを提供したりしても、消費者のニーズに沿ったものでなければ利益がでないばかりか、赤字になってしまうこともあるでしょう。費用対効果をよく考えず闇雲に投資を行っていたのでは、よほど資金面に余裕のある会社でないといずれ倒産してしまいます。会社として少しでも多くの利益を出すために、費用対効果の高さを常に意識しておく必要があるのです。

費用対効果が低い原因は?

費用対効果が低くなる原因としては、大きく分けて「利益が出ていない」「コストがかかりすぎている」の2パターンがあります。利益が出ていない原因としては「扱っている商品に魅力がない」というケースが考えられます。扱っている商品に消費者が魅力を感じない理由は「値段が高い」「そのような商品を求めていない」などさまざまですが、基本的にはニーズにマッチした商品を提供できていないことが原因です。
一方、コストがかかりすぎているケースの原因としては、「費用の投入先を間違っている」が考えられます。たとえば、「若者向けの商品を提供しているにも関わらず、高齢者をターゲットにしているような雑誌にも広告を掲載している」という場合では、広告費が無駄になっているかもしれません。消費者が求めている以上のものをコストにかけても無駄になってしまいますので、気を付けてください。

費用対効果が低いときの改善策

費用対効果を改善するためには、「売上を増やす」「コストを抑える」ことが必要です。売り上げを増やすためには、まず「消費者が何を求めているのか」を知らなければいけません。それを知ることで「なぜ商品の売り上げが伸びないのか」を理解できるからです。具体的には、消費者にアンケートを行うことや、専門家に市場調査を行ってもらって意見を聞くといった方法が考えられます。その結果を元に、今ある商品の販売戦略の見直しや、新商品の開発を進めていくと良いでしょう。
一方、コストを抑えるためにはすべての工程を見直す方法が有効です。無駄な費用をかけている部分が見つかれば削ってください。また、企業側が必要だと思っている作業やサービスでも、消費者側は不要だと考えているケースもあります。そのため、消費者の意見には、売上を増やすためだけでなくコストを抑えるためにも、常に敏感になっておくと良いでしょう。ただし、コストを抑えるときの注意点として「必要なものまで削らない」が挙げられます。よくある失敗例として、「コストの削減をしようと思ったのに、商品やサービスの質が悪くなって売上が大きく落ちてしまい赤字になった」というケースがあるからです。コストを削減することだけに集中してしまうと、全体が見えなくなることがあるので気を付けましょう。

コストパフォーマンスを意識した費用投入を!

費用対効果を意識して経営に取り組むことで、経営状況は改善しやすくなります。費用対効果の考え方はどの業種においても大切なものなので、経営者やマネージャーなど会社を運営するうえでキーマンとなる人は理解しておくべきでしょう。そのため、新しいプロジェクトやサービスの提供について検討するときは、必ず確認しておくようにしてください。また、費用対効果は消費者のニーズや人件費の増減などによって常に変動します。定期的に確認するくせを付けておかないと、知らない間に悪化してしまうかもしれません。常に会社のすみずみまでコストパフォーマンスを意識して経営をすすめるようにしてください。