どんなに優れた営業職でも、成功ばかりではありません。営業を続けていれば必ず失敗もありますし、辛いこともたくさんあるはずです。しかし、そうした失敗を強い心を持って乗り越える経験は、営業職としての成長を実感する瞬間でもあります。うまくいかないときにどのように対処するかが、優れた営業職になれるかどうかを分ける分水嶺といえるでしょう。それでは、メンタルを強く持ち、多少の失敗に挫けない心を作るにはどうすればいいのでしょうか。

営業ではメンタルの弱さが命取り

営業という仕事において、メンタルの強さは大きな武器です。反対に、メンタルが弱いと仕事のさまざまな部分に支障をきたすことになります。メンタルの弱い人の典型的な言動に、失敗を恐れすぎて行動に移せないというものがあります。実行に移す前から失敗したときのことを考えすぎ、ネガティブ思考でがんじがらめになってしまうのです。そうした心理状態で行動すると、当然失敗しやすくなってしまいます。大事な商談の場で不安や恐怖心が抑えられず、うまく言葉が伝えられなくなることもあるでしょう。失敗を恐れすぎる気持ちが失敗を生み、それを「やっぱりダメだった」と捉えることで、自身の悲観的な予測を裏付けてしまいます。これではなかなか次の行動に移ることができません。弱い心が生み出す悲観的な予測が、失敗から抜け出しにくくなる負のスパイラルを生み出しているのです。

メンタルが弱くなる原因は?

過剰に失敗を恐れる気持ちは、完璧主義な人ほど陥りやすい罠といえます。完璧主義的な思考をする人は、失敗する要素をできる限り事前に潰しておきたいと考えます。営業の仕事において、失敗する要因は自分だけですべてコントロールできるものではありません。いくら事前準備を完璧にやったとしても、失敗することはあります。その点を過剰に恐れたり、受け入れられなかったりする心が、負のスパイラルを生み出してしまいます。生真面目すぎる人も注意が必要です。生真面目すぎる人の特徴は、失敗や責任をすべて自分で背負おうとすることにあります。なんでも自分でやらなければと気負いすぎるあまり、必要な指示やアドバイスが受けられず、困ったときに相談できない状況に自分自身を追い込んでしまうのです。こうした状況に陥ると、失敗を報告することも難しくなってしまい、余計に傷口を広げることにもなってしまいます。

メンタルブロックを見つけて外す

弱いメンタルを強化するための方法はいくつかあります。自分の中のメンタルブロックを見つけ、それを外すことも強いメンタルを作る方法のひとつです。メンタルブロックとは、行動を起こすときに「自分にはできない」「どうせやっても失敗する」と、否定的に考えてしまう思考のことです。メンタルブロックは失敗へのイメージが先行した、心にかけられたリミッターということができます。多くの人が、大なり小なりこのメンタルブロックを持っています。食わず嫌いなども、その一種といえるでしょう。メンタルブロックを外すためには、その原因となっている否定的な経験や悪いイメージを肯定的な経験や良いイメージで上書きすることが必要になります。

ポジティブシンキングでメンタル強化

メンタルブロックを外すためには、ポジティブな経験やイメージが欠かせません。食わず嫌いの多くは、味覚の上書きによって克服することが可能です。それ以外の面でも、ポジティブシンキングは強い心を作るために重要な要素です。物事は捉え方次第で、自身の受ける印象は大きく変わります。例えば新規の営業先で、こちらの提案を十分に聞いてもらえないまま帰された、というケースを考えてみましょう。この失敗を否定的に捉えて「もう新規の取引先には行かないようにしよう」と考えるか、肯定的に捉えて「もっと相手のニーズに合った商品を持っていけば聞いてもらえるかもしれない」と考えるかは、その人次第です。考え方によって結果を変えることはできませんが、自分の受け取り方やその後に影響を与えることはできます。ポジティブシンキングは、失敗を次の成功に変えるために不可欠な考え方なのです。