終身雇用制度の崩壊により、ビジネスパーソンの間では転職することが当たり前となっています。そのなかで、seから営業職へ転職したいと考えている人が少なくありません。seの主な業務は、顧客の要望するシステムの設計や開発を行うことです。これに対して、営業職の仕事内容は企業の製品やサービスを顧客へ販売することで、seと大きく異なります。それにもかかわらず、なぜseから営業職になりたいと思う人がいるのでしょうか。そこで、ビジネスパーソンがseから営業職への転職を考える理由と転職する方法を紹介します。

seが営業職になりたいと考える主な理由

人が現在就いている職種から他業種へ転職しようとする際、何かしらの理由があるものです。seから営業職になりたい人は、どのような理由で転職したいと考えているのでしょうか。
まず、seとしての将来に不安があることです。seの仕事は、年齢を重ねていくにつれて、プロジェクトを管理したり、サービスを企画したりするスキルを求められます。そのため、技術以外の幅広い知識を身につけるために、営業職へ転職しようと考えるのです。seの仕事内容が自分の思い描いていたものとは違っていたという理由も多いです。一日中机に座りながらパソコンで作業を行っていると、肩こりや腰痛に悩まされたり、孤独を感じたりしてしまいます。そのような状況が辛くなり、外出する機会の多い営業職へ転職しようとしてしまうのです。
それから、自分なら技術に詳しい営業になれると思って、営業職へ転職しようと考える人もいます。seは、同じ会社の技術的な知識がない営業職の社員に理不尽な要求をされるケースも少なくありません。このようなとき、自分なら顧客の要望と現場の状況を調整しながら仕事を進められると考えてしまうのです。

seと営業の主な違いって何?

seから営業職へ転職する際に把握しておかなければならないことがあります。それは、seと営業職の業務内容や労働環境はまったく違うことです。具体的には、まず給与の形態や休日が異なります。seの給与は、固定給に残業代が加算される形態であるのに対し、営業職の場合は基本給に歩合給が加算されるのが一般的です。seが歩合給の占める割合の多い会社の営業職へ転職した際、仕事の結果によって収入が大幅に下がってしまうケースもめずらしくありません。また、営業職へ転職すると、顧客の都合で仕事をする必要があります。そのため、一般の会社の休日である土日祝日に休日出勤して対応しなければならない場合も多いです。
顧客との関係も、seと営業職では大きな違いがあります。顧客はseに対して「信頼できる技術職」として見ますが、営業職に対しては「交渉する相手」と見るのが通常です。そのため、seから営業職へ転職して顧客と接すると、自分のことをなかなか信用してもらえなくて辛い思いをする場合もあります。それから、seと営業職では仕事観が異なります。前者は、専門的な技術を活かして業務を行うのに対し、後者は顧客の要望を第一に考え、売上やノルマを重視して仕事をしなければなりません。

seから営業職になるには?

営業職に就くには、特別なスキルや経験などは必要ありません。そのため、体力とやる気さえあれば、seでも営業職になることが可能です。営業職の職種のなかには、seの業務と親和性のある職種がいくつかあります。具体的には、IT機器の販売、提案営業、カスタマーサポート、ルートセールスなどです。たとえば、IT機器の販売職に就いた場合、seの仕事で得た知識を活かして、顧客へより具体的に説明することができるでしょう。また、提案営業の業務を行う際、seの仕事で経験したサービスの企画のスキルを活かすことが可能です。そのため、seが営業職へ転職するのであれば、これらの職種が向いているといえます。

seの経験を活かせるような営業を目指そう

seと営業職は業務内容や労働環境が異なり、求められる仕事観やスキルも違います。そのため、seから営業職へ転職する場合、初心に帰って一から学んでいくという意識を持たなければなりません。しかし、それでは今までのseの経験が無駄になってしまうのでもったいないことです。IT業界の会社の営業職になれば、業務上でこれまでのseの経験を活かすことができます。まったく畑違いの職種の営業職ではなく、seの経験を活かせる営業職への転職を目指したほうがよいでしょう。